阿部公房さんの『砂の女』を読んでみました。
趣味で昆虫採集をしている男。彼は、まだ見ぬ新種の昆虫を捕まえるため、休暇を利用して砂丘を訪れました。
偶然見かけた黄色い前足のニワハンミョウ探しに夢中になり、どんどん先へと進んでしまいます。
男がたどり着いたのは、“愛郷精神”を掲げる砂地の村でした。
宿を探していた男は村人に、ぐるりを砂の崖で隔離された一軒の家へと案内されます。
家には30歳前後の女がひとりで暮らしていました。
翌日、男が外へ出てみると、唯一外へ出る手段である縄梯子が外されていて、男は砂の壁に閉じ込められてしまったことに気づきます。
人々は自由を求めて戦うことに労力を惜しみませんが、自分が望んでそこにいるならば、どんなに厳しい責め苦であってもそこから逃げ出そうとは考えません。
大切なのは、自由だという認識があるのか、ないのか。
制圧される状況に苦しみを感じますが、いざ解放されると戸惑ってしまいます。すぐさま新しい生活を切り開き、支配されていた時分に思い描いた夢を実現することはまずありません。
場合によっては、虐げられてきた時代を懐かしむことだってあるくらいです。
男も閉じ込められ、砂掻きを強いられることに烈しく拒絶しました。
女との暮らしに不満があるわけでも、砂を掻くことが面倒な様子でもありません。
男が嫌がったのは、まさしく恣意的に押さえつけられている環境です。
元の社会生活に戻るという名目はありましたが、それ以上に、村人の一方的なやり口に対する怒りが大きかったように感じました。
生命の根源である水を管理され、命綱を握られていることに憤慨しています。
虐げられている、自分の意見を聞いてくれないという認識が、男を突き動かしました。
ところが男の意志を強制しない状況になったことで、反発も消えてなくなりました。
文句があったとしても、逃げ出すことはありません。自らの意志で隔離される自由を選んでいます。
村人の思惑通り、見事な愛郷精神にも目覚めました。
まるで“愛社精神”を掲げ、薄給激務を強いている会社そのものですね。
男は納得しているのですから、隷属に近かったとしても人権侵害にもなりません。
結果、男は自由を手に入れ、村人は労働力を手に入れました。
「罰がなければ、逃げるたのしみもない」
しかし、男と村は対等だったのでしょうか。
彼が求めていた“自由”とは、こんなものなのでしょうか。
さて、ブックマニアでは、今日ご紹介した
『砂の女』
以外にも、
『壁』
『箱男』
『他人の顔』
『方舟さくら丸』
『密会』
など、阿部公房さんの作品を買取強化しております。
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2014/7/09 カテゴリ: 査定情報