本多孝好さん『真夜中の五分前 side-A・side-B』を読んでみました。
三浦春馬さん主演、日中合同制作の映画も話題ですね。
“僕”は他人と深くかかわらずに生きてきた。
6年前に恋人を亡くして以来、人を愛せなくなったのだ。
上司の小金井さんは女性で、仕事人間。
だれよりも成果を上げているが、性格に難があり上からも下からも毛嫌いされている。
彼女の下で仕事をこなせたのは、社内で“僕”ひとり。
そんな自分のプライベートもままならない小金井さんが、あるとき“僕”の人付き合いを心配してきた。
“僕”の恋愛に転機が訪れたのは、それから少しした休日のことだった。
身体を鍛えるために出かけた市民プールで、ひときわ優雅に泳ぐかすみと出会った・・・
世の中は無情ですね。
上手くいきそうだったのに、ふと気づけば、ようやく手に入れた足場さえ危うい状況に追い込まれています。
“僕”も、side-Aでようやく手にしかけたかすみとの愛を、side-Bであっさり失ってしまいました。
実態のない社会において不確かなものをつかみ続けるのは、思いのほか難しいことなのかもしれません。
かすみとゆかりは、一卵性双生児として生まれ、記憶まで共有している、そっくり姉妹です。
たまたま全く同じ遺伝子を持った人間が隣にいたことで、自我が危うくなるほど自分をあいまいな存在に位置付けてしまいました。
なんでも一緒だったせいで、好きな人までかぶってしまい、選ばれたのはゆかり。
でも事故で片方が死んだことで、ゆかりの夫は、戻ってきたゆかりが本当にかすみではなくゆかりなのか自信が持てず、神経衰弱になってしまいました。
双子ほど極端な経験はないかもしれませんが、誰しも一度くらい自分が何者かを考えたことがあると思います。
名前なんて社会生活をするために授かったものであり、自分を絶対的に表しているわけではありませんよね。
人間社会において自分がどこの誰かを証明できるものはしょせん、人間が作り出した便宜的なものばかりです。
それはすごく不確かで宙ぶらりんにも感じられますが、一方で、自分の考え次第で何者にもなれるということではないでしょうか。
名前に限らず、自分の価値を見出すのも自分自身・あるいは社会そのものなのですから。
一卵性双生児だったとしても、自分や周りの人がかすみだと認めていればかすみですし、ゆかりだと認めていればゆかりでしょう。
たとえそれまでの人生で、違う人間だったとしても。
愛情だって愛する側の主観的な感情でしかありません。
本当に愛していたかどうかなんて、本人の自覚次第です。
自分は自分が思っている者以外、何者にもなることはできないのかもしれませんね。
さて、ブックマニアでは、今日ご紹介した
『真夜中の五分前』
以外にも、
笹本稜平さん『春を背負って』
西加奈子さん『円卓』
葉室麟さん『蜩ノ記』
早見和真さん『ぼくたちの家族』
劇団ひとりさん『青天の霹靂』
などを買取強化しております。
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2014/8/06 カテゴリ: 査定情報