大沼紀子さん『真夜中のパン屋さん~午前０時のレシピ~』を読んでみました！
滝沢秀明さん主演のテレビドラマでも有名ですね。
“ブランジェリークレバヤシ”は、深夜営業の変わったパン屋。
オーナーの暮林（演：滝沢秀明）はパン作りの経験はないが、特徴的な関西弁を話し、柔和な顔とおおらかな接客で客を惹きつける。
パン職人の弘基（桐山照史）はまだ若く口は悪いが、並々ならぬ情熱と海外修行の経験から、彼の作るパンはどれも絶品。
ブランジェリークレバヤシは独特の営業スタイルで、やってくる客層も風変わりだ。
万引き少年、のぞき魔の脚本家、自信を失ったニューハーフ・・・
その日やってきたのは、宿無し女子高生の希実（土屋太鳳）。
母親が失踪してしまったため、異母姉である暮林の妻を頼って店を訪ねたのだった。
夜間営業の飲食店といえば、誰の頭にも浮かぶチェーンの牛丼屋や居酒屋など、一様に夜らしい雰囲気を備えていますよね。
一方パン屋は、朝から日中にかけて営業しているイメージがあります。
朝食の食卓にパンを届けられるよう、パン職人さんたちは日も出ないうちに働き始め、早朝から店を開ける場合がほとんどです。
出来合いでそのまま食べられますから、時間のない朝に食べる人が多いのではないでしょうか。
逆に夜中は、需要が少なく感じます。
たとえば飲み会のあと、ラーメンを食べに行くことはあっても、コンビニでパンを買う人はほとんどいませんよね。
夜中のラーメンは手軽なインスタントでも贅沢に感じますが、夜中のパンは一般的とは言えません。
ブランジェリークレバヤシにやってくるのは、ちょっと訳ありのお客さんたち。
目当てはもちろんおいしいパンですが、それだけのためにわざわざ夜中に来店しているようには思えません。
彼らはブランジェリークレバヤシに、人のぬくもりを求めているように感じます。
暮林さんが「腹が減っとると、気が立つでな」というとおり、夜中はおなかも減ってイライラしやすい時間帯。
不安がなくても、ひとりぼっちで寂しい気分になることもあります。
そんなときに、焼きたてのパンとひときわ優しい店員さんが無条件に迎えてくれたら・・・？
焼きたてのパンには、不思議な魅力がありますね。
芳醇な風味と香ばしさには、手にとった人を笑顔にしてしまう魔法がかかっているのでしょうか。
焼きたてというだけで買ってしまうお客さんもいるほど、人を幸せにしてくれる温かさがあります。
閉店前のパン屋では決して味わえません。
ブランジェリークレバヤシは社会からはみ出した人に、愛情がこもったパンを提供できるところも魅力です。
お客さんはわびしい気持ちを忘れて、ほっこりしてしまうでしょう。
温かいパンが食べたくなる本でした。
さて、ブックマニアでは、今日ご紹介した
『真夜中のパン屋さん』シリーズ
以外にも、
角田光代さん『八日目の蝉』
林真理子さん『下流の宴』
向田邦子さん『胡桃の部屋』
乃南アサさん『いつか日のあたる場所で』
柴田よしきさん『激流』
などを買取強化しております。
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2014/8/07 カテゴリ： 査定情報
